「重大な過失」または「過失」になりうる場合

本人の重大な過失となりうる場合

本人の重大な過失となりうる場合とは、「故意」と同視しうる程度に注意義務に著しく違反する場合であり、その事例は、典型的には以下のとおりです。

  1. 本人が他人に暗証番号を知らせた場合
  2. 本人が暗証番号をキャッシュカード上に書き記していた場合
  3. 本人が他人にキャッシュカードを渡した場合
  4. その他本人に1.から3.までの場合と同程度の著しい注意義務違反があると認められる場合

(注)上記1.および3.については、病気の方が介護ヘルパー(介護ヘルパーは業務としてキャッシュカードを預かることはできないため、あくまで介護ヘルパーが個人的な立場で行った場合)等に対して暗証番号を知らせた上でキャッシュカードを渡した場合など、やむをえない事情がある場合はこの限りではありません。

本人の過失となりうる場合

本人の過失となりうる場合の事例は、以下のとおりです。

(1)次の①または②に該当する場合

①金融機関から生年月日等の類推されやすい暗証番号から別の番号に変更するよう個別的、具体的、複数回にわたる働きかけが行われたにもかかわらず、生年月日、自宅の住所・地番・電話番号、勤務先の電話番号、自動車などのナンバーを暗証番号にしていた場合であり、かつ、キャッシュカードをそれらの暗証番号を推測させる書類等(免許証、健康保険証、パスポートなど)とともに携行・保管していた場合

②暗証番号を容易に第三者が認知できるような形でメモなどに書き記し、かつ、キャッシュカードとともに携行・保管していた場合

(2)(1)のほか、次の①のいずれかに該当し、かつ、②のいずれかに該当する場合で、これらの事由が相まって被害が発生したと認められる場合

①暗証番号の管理
ア)金融機関から生年月日等の類推されやすい暗証番号から別の番号に変更するよう個別的、具体的、複数回にわたる働きかけが行われたにもかかわらず、生年月日、自宅の住所・地番・電話番号、勤務先の電話番号、自動車などのナンバーを暗証番号にしていた場合
イ)暗証番号をロッカー、貴重品ボックス、携帯電話など金融機関の取引以外で使用する暗証番号としても使用していた場合

②キャッシュカードの管理
ア)キャッシュカードを入れた財布などを自動車内などの他人の目に付きやすい場所に放置するなど、第三者に容易に奪われる状態においた場合
イ)酩てい等により通常の注意義務を果たせなくなるなどキャッシュカードを容易に他人に奪われる状態においた場合

(3)その他(1)、(2)の場合と同程度の注意義務違反があると認められる場合